2016年8月2日火曜日

メタボの赤石岳登山

昨年2015年に一旦、この登山にチャレンジしました。標高1123mの椹島から登り始めましたが、ほんの400m程登った標高1586.8mの「小石下」辺りで、バテてしまい、敗退しました。準備不足であり、この登山が長い道程であるとの認識不足であり、前日の酒飲み過ぎのためでした。
椹島ではメタボは見掛けません。老若居ましたが、皆精悍な体付き。登山の初心者が居ないそういう山だと思いました。
その後、足の骨折が有りました。
リベンジということで、2016年に再度挑むことにしました。
でも、インターネット上の書き込みでメタボの私が安心できるものが見付かりません。私はメタボで、体重は約75kg。
止めようかと何度も考えましたが、止めたら、一生できないことになります。やらなくての後悔はしたくない。
バスを予約し、徐々に準備しました。プールに通いました。水泳の筋肉は登山用とは違うので、意味無かったかもしれませんが。
非常時のビバーク用に約1万円のツエルトというものを買いました。簡易のテントになる幕状のもので、ポールは含みません。軽量なもので、非常時のためとしてはテントよりもツエルトの方が良いそうです。
奥多摩の登山に数回出掛け、標高差千mくらいの登山に慣れました。
それでも、出掛ける日が近付くと、ストレスで体がピリピリしました。仕事ではなく、娯楽の登山のためのストレスです。困ったものだ。何で、登山に行くことにしてしまったのだろう、何でバスを予約してしまったのだろという思いが頭に生じました。中止する理由を探し始めました。でも、仕事上の急用は生じません。天気も良い予報。直前は体重を増やさないよう、余計なものを食べないよう注意しました。
金曜日と月曜日の休暇を取得しました。2016年7月28日(木)夜、出発です。居酒屋で夕食としましたが、食べ過ぎず、飲み過ぎないにしました。朝食用にコンビニの弁当を買いました。私1人での登山です。
竹橋のパレスサイドビル、毎日新聞社より「まいたび」の「毎日あるぺん号」で椹島へ向かいました。ドライバーはなんと小柄な女性1人でした。首都高、東名道を経て、静岡へ。私は寝ていました。静岡より狭く、急カーブ連続の深夜の道をオクシズへバスは走りました。大井川沿いでは拳サイズの石がいたるところに転がっている道です。このバスの運転手には尊敬の念を覚えます。
早朝に畑薙夏期臨時駐車場に到着。ポストに登山届を投函。昨年の経験よりすぐに特殊東海フォレストの送迎バスの列に並びました。ここから椹島まで送迎バスがピストンの往復でお客さんを運びます。この先の林道が林業用であり、悪路であることから、路線バスではなく、送迎バスの形となっているそうです。何度も送迎バスが往復しますが。なるべく最初のバスが良い。列の中で朝食のコンビニ弁当を食べました。他の人はおにぎりやサンドイッチを食べていました。この先、ゴミ捨て場は無く、登山終了まで弁当のゴミは運ばなければならないので、おにぎり等の方が良かった。
送迎バスは1時間要します。8時過ぎにようやく椹島に到着。
通常登山は早朝出発、早めのゴール到着を心掛けなければいけません。でも、ここはアクセスの都合で、出発が8時以降ととても遅い。ここはこれがしょうがない。私はこの登山が富士登山に似ていると考えることにしました。この山は注意を要する登山道ですが、富士山並みの延々と続く登りで、体力を要するもの。人通りが多い登山道で、整備された道です。ゴール到着が夕方の遅いやや暗くなる時刻となるのもしょうがないと考えました。
これまで登山中にお腹が痛くなり、辛かったことが度々有りました。登山への緊張感、ストレスと汗によるお腹の冷えが腹痛に繋がります。携帯用トイレとトイレットペーパーは持ちました。でも、人通りが多い登山道の辺りでの脱糞はしたくない。ちゃんと食べ物を食べて、水を飲み過ぎないようにしました。出発前に間を空けて2度トイレに行くようにしました。
井川山神社にお参りしました。
9時前、登り始めました。しばらくは記憶に有る道。吊り橋を渡ると、急な登り。送電線の鉄塔の下を通るのですが、鉄塔が2本有ることを今回知りました。
初めの1本はルートのちょっと脇です。ルートよりちょっとずれた所ですので、注意しましょう。次の鉄塔が真下が登山道です。
斜面を正面に見る辛い直登だけでなく、急斜面を横、斜め上へ歩くトラバースがとても多く長い。道幅が数十cmと狭く、急斜面であり、神経を使います。
早々に小石下を通過しました。昨年なんでここであきらめたのか、不思議に思いました。
椹島が標高1123mで、今日のゴールの千枚小屋は標高2617m。1日で約1500m登ります。今まで私は甲斐駒ヶ岳、北岳、八ヶ岳、奥穂高岳と登りましたが、1日でこれだけ登ったことはほとんど有りません。なかなか無い登山だと思います。亡者の修行のよう。長い登山はあきらめない精神力が必要です。何m登ったとか、あと何mだとか、あと何十分だとか、何時に着きそうだとか考えないようにしましょう。まだまだゴールは先です。
私はちょっと運動すると足が攣ります。これは血管が詰まっているのではなく、何かの栄養素が足りないのだと考えています。スポーツドリンクを飲んだり、塩分チャージタブレットを舐めたりしました。
ご褒美が有りました。清水平での水、おいしかった。駒鳥池、ちょっとミステリアスな素晴らしい景色でした。登山道の数m下にこの池が有りますので、寄ってみましょう。この池の水は飲みませんでしたよ。
PM5時過ぎ、千枚小屋に着きました。約8時間強の登山でした。今までに無い登山で、今後もなかなか無いであろう登山でした。この感激をじっくり噛み締めました。
千枚小屋では到着が遅かったので、寝床が別棟の「月光荘」となりました。月光荘は本館よりちょっと離れています。美しい名の「月光荘」ですが、ちょっと残念。本館に有る明るい照明、暖房、テレビが月光荘には有りませんでした。月光荘には裸電球が1つ灯っていました。本館に水場が有り、トイレは本館の近く。月光荘からは水場とトイレも不便。値段は本館と同じ。ちと残念。でも、登山に感激。こんなこと気にしてはいけません。
サンダルが有り、借用できました。トイレは和式便器と男性用小便器でした。トイレットペーパーは備えてありました。夜間穂トイレにはライトが必要です。
千枚小屋からの稜線歩きはまさに天国。1日に500m前後の登り下りが有りましたが、苦になりませんでした。
千枚岳(2880m)、丸山(3032m)、悪沢岳(荒川東岳、3141m)、トイレ岳(トイレだけ3060m)、荒川中岳(3083.7m)、荒川前岳(3068m)、小赤石岳(3081m)、赤石岳(3120.5m)、富士見平(2769m)と巡りました。
千枚岳頂上の東側に危険と言われる箇所が有ります。3つ有りました。1つめはやや急な道です。2つめが高低差約5mのほぼ垂直の崖です。後ろ向きで下りました。ほぼ垂直ですが、壁ではなく、岩場で、手掛かり、足掛かりがちゃんと有ります。ゆっくりと3点支持で通過しましょう。3つめが急な斜面です。手を使いながら、下りました。3つめは高低差、延長が長く、高低差20mくらい有ります。難しくありませんが、神経を使います。気を緩めず、通過しましょう。
3000m超えの稜線は高山病の恐れが有ります。私は高山病にあまりなりません。足が遅いので、ゆっくりな登山なためだと思います。速く登る人は注意してください。
気温はかなり低く、夏でも朝夕は数℃です。陽に当たると温かく、登っているときは汗が出ますが。下っているとき、日影や曇っているとき、強風のときは寒くなり、低体温症で危険になりかねません。山小屋の寝床も寒いときが有りました。私は稜線ではずっとセーターを着ていました。
寒いとき、岩が冷たいとき、岩が刃物のように鋭いときなどのため、グローブをときどき使いました。登山用ではなく、作業着屋で買った千円程度のものです。役立ちました。軍手はダメです。
稜線での陽射しは強く、腕、手の甲、耳、首の後ろが焼けてしまいました。日焼け止めを塗りましょう。
虫除けを使いましたが、あまり効いていませんでした。ところどころで虫のお迎えを受けましたが、奥多摩のときより少ないと思いました。
9時頃、悪沢岳頂上に着きましたが、ここだけ雲が纏わり付き、眺望がイマイチでした。悪沢岳だけが可愛そうでした。
悪沢岳から荒川中岳への下りもやや急な道でした。注意しましょう。
悪沢岳以外は素晴らしい眺望でした。黒い富士山はずっと見えていました。お花畑が広がっており、様々な花が咲いていました。
荒川前岳から荒川小屋までの間は圏谷(カール)のお花畑を横切る道でした。圏谷全体がお花畑で、見える限りがお花畑という壮大な景色でした。
荒川小屋はお花畑とハイマツ帯に挟まれた天国のような小屋です。ただし、ここは下界とは直接繋がっていません。下界に至るには荒川前岳の頂上か小赤石岳の頂上を通らなければなりません。悪天候や病気、ケガのときはタイヘンです。荒川小屋はトイレと水場が離れていて、ちょっと不便。水場へは高低差がやや有ります。水は圏谷からの水のようで、おいしかった。
今回、スポーツドリンクの粉末を用意しました。1L用を使い、500mlのペットボトル2本に粉を入れ、山小屋の水場の水を注ぎました。一方が濃くなり、もう一方が薄くなっていました。濃いスポーツドリンクも運動中にはおいしかった。
梅雨明け直後の天気が良い日でした。未明に水分は下界に有りました。土や葉が濡れていました。標高2600mであれば、雲は下であり、雲海が広がっていました。4時50分頃にご来光となりました。日の出とともに地表が温められます。7時頃より雲海が乱れ始め、8時頃より山に雲がまとわり始めました。お昼以降は天気が悪くなりました。夕方は眺望が悪かった。夕暮れ後、水分がまた、低い方に下がりました。深夜には空が晴れて、素晴らしい星空でした。飛行機の光も見えました。
荒川小屋から大聖寺平まではハイマツ帯を横切る真っ直ぐな道で、気持ち良かった。大聖寺平では北アルプスの槍ヶ岳、穂高連峰が見えました。大聖寺平から小赤石岳までは急な登りでした。グングン登っていく感じで、むしろ心地良かった。赤石岳避難小屋ではチエ子さんのコーヒーを頂きました。良い香りで、おいしかった。
赤石岳から赤石小屋がすぐ近くに見えていました。しかしこの道が凄かった。赤石岳の急斜面に道が刻まれています。飛騨山脈の涸沢から奥穂高岳等へのザイテングラートを凌ぐものだと思いました。私は下ったのですが、タイヘンでした。富士見平を通りました。地図では小ピークのように見えますが、1つの山だと思いました。それなりに登りが有りました。
標高2564mの赤石小屋から椹島まで約1400mの下りです。地図では林道に出ると有りましたが、そのような所は見当たりませんでした。急斜面をジグザグに延々と行く道が有ります。狭い道の端に転がりやすい石が多かった。2回程、石が転がりました。急斜面なので、石がしばらく転がりました。ジグザグの道なので、下に何重にも道が通っていました。注意しましょう。私が石を落としたときは、下に人は居ませんでした。
椹島の登山口が急に見えてきました。疲れましたが、爽快な登山でした。終わってしまい、ちょっと淋しい。
ここでは登山届と下山届の提出が必要です。でもこれらは自分が遭難して、自分の死体が見付かったとき、役所が身元確認を容易にしたいためのものだと思います。良くないのでしょうけど、私は1人での登山が多い。家族等に出掛けることと行き先を告げなければ、イミが有りません。私がどこに行ったのかを家族が知らなければ、捜索が始まりません。家族に告げないでの登山届等が役立つのは自分の死後のことだと思います。家族へ行き先を伝えましょう。
この登山は椹島から稜線への登りと稜線からの下りが酷くシンドイものでした。稜線歩きはむしろ楽だったと思います。行動食としてあんパンや羊羹をたくさん持ちましたが、各山小屋で弁当を買ったことも有り、随分と余りました。余ることは良いことだと思います。十分に準備しましょう。
登山中、初心者らしい人は見掛けませんでした。子連れもほとんど居ませんでした。そういう山なのでしょう。
道にゴミが有りませんでした。皆さんマナーが良いようです。この綺麗な素晴らしい状態が続いてほしい。汚さないようにしましょう。


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